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惣菜・冷凍食品市場と賞味期限延長の需要拡大
惣菜・冷凍食品市場は、近年も拡大が続いています。共働き世帯や単身世帯の定着に伴い、調理の手間を省ける惣菜や冷凍食品の活用はすでに日常のものとなりました。現在は商品の選択肢がさらに広がり、家庭における活用の度合いがより一層高まっています。
あわせて、食品業界では賞味期限を延ばす動きが広がっています。背景にあるのが、食品ロスを減らす取り組みです。環境省によると、令和6年度(2024年度)の食品ロス量は推計で461万トン(事業系237万トン・家庭系224万トン)です。
国は削減策の一つとして、賞味期限の表示を「年月日」から「年月」に切り替える取り組み(大括り化)や、賞味期限そのものの延長を後押ししてきました。
賞味期限を長くすることは、業界全体の流れになりつつあります。しかし、期限を延ばした分だけ、食品が劣化の原因にさらされる時間も長くなります。おいしさを保てる期間(品質保持期間)を延ばすには、それを見越した設計が欠かせない時代に入ったといえるでしょう。
出典:環境省「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和6年度)の公表について」
おいしさを奪う「水分移行・離水・乾燥・吸湿」問題
中食・冷凍食品の品質劣化には、「水分の動き」によって静かに進行するパターンがあります。水分を原因とした経時劣化には、自由水が原因となって素材間で水分が移動する「水分移行」と、調理後の保存環境によって、食品から水分が失われたり外部から取り込まれたりする「離水・乾燥・吸湿」などがあります。
それぞれ品質に異なる影響を与えることから、現象を正しく把握した上で対策を設計することが求められます。
水分移行による品質低下
水分移行とは、水分活性の高い領域から低い領域へ、平衡に達するまで水分が動く現象を指します。
水分活性の異なる素材を組み合わせた場合に発生し、時間経過とともに進行します。米飯・パスタ・タルト生地は、水分移行が品質に大きな影響を与えるカテゴリーと言えます。
米飯
ケチャップライスやドリアなど、調味液を用いる米飯では、調味液から米粒への水分移行がべちゃつきの原因となります。調味液と米飯との水分活性差により、時間とともに水分が米粒側へ浸透し、本来の粒立ちや食感が失われていきます。
パスタ
チルドパスタや冷凍パスタでは、麺とソースの間で水分が双方向に移動します。ソースから麺側への水分浸透により麺が伸び、麺からソース側への離水によってソースの味ボケも引き起こされます。
タルト生地・パイ生地
タルトやパイにおいては、フィリングから生地への水分移行が発生しやすく、サクサクとした食感が失われる原因になります。タルトやパイの水分移行対策としては、生地そのものや焼成条件を工夫するアプローチと、フィリング側に対策を施すアプローチがそれぞれあります。
離水による品質低下
離水は、食品内部から外部に向けて、水が失われる現象です。野菜の調理後のドリップが代表例です。
野菜調理品
野菜は細胞の中に水分をとどめています。炒め調理やブランチングなどの調理工程によって細胞膜が破壊されると、調理品からの離水が発生します。
時間経過とともに離水量は増加し、食感やジューシー感の低下につながります。業務用炒め物・チルド惣菜では、調理段階での野菜表面に発生するダメージをどうケアするかが、品質における差別化の分岐点となります。
油脂技術によるアプローチ
水分移行や離水・乾燥・吸湿といった経時劣化への対策として、油脂を用いた「コーティング」が有効です。
コーティングは、素材表面に均一な膜を形成し、水分の出入りを制御するアプローチです。形成する膜が均一であることが重要なため、油脂の分散性とコーティングの対象となる素材との馴染み安さがポイントになります。
油脂による”水分”のコントロール
水分移行・離水・乾燥・吸湿への対策は、食品中の各素材の接触状況と、製造から流通・喫食までの工程全体を踏まえて設計する必要があります。
米飯や麺では、ご飯や麺がどのような食材に触れているか、どの調理工程の段階で接触が始まり、どれだけ時間が経過した段階で喫食に至るかを踏まえ、ご飯や麺をどのようにガードするかという設計になります。
製菓・製パンでは、素材の構成を確認した上で、生地に接触するフィリング側にどのように対策を講じるかを検討します。
カテゴリー別の対策例
水分移行の解決には、製品ごとに異なる課題への最適化が必須です。惣菜、米飯麺類、製菓・製パンのカテゴリーで、油脂による劣化対策の例を見ていきます。
野菜調理品での離水
野菜からの離水という問題に対し、惣菜の調理品においては、調理段階での野菜表面コーティングが有効なアプローチとなります。加熱調理工程と同時にコーティング層が形成されるため、後添加の必要がなく、生産性を損ないません。
日清炒め油 野菜シャキシャキタイプ
「日清炒め油 野菜シャキシャキタイプ」は、野菜の表面を均一にコーティングすることで、炒め調理やブランチング後の離水を抑制します。調理から時間経過後もシャキシャキ食感とツヤを維持しながら、重量歩留まりの向上にも寄与します。
炒め用の油と置き換えて使用し、炒め調理中に油膜を形成するため、調理から店頭陳列、喫食までの一連の品質保持に貢献します。
米飯・麺類での水分コントロール
米飯やパスタの水分移行による経時劣化に対する解決策の一つに、炊飯専用油や麺さばき油の活用があります。ご飯や麺の表面に薄い油膜を形成し、水分の出入りを物理的に制御するアプローチです。ほぐれやすさの改善という副次的なメリットも見逃せません。
炊飯油
炊飯油はご飯表面に均一な油膜を形成し、水分移行の抑制に貢献します。ケチャップライスやドリアなど、ご飯の外側を調味液が覆う食品では、ご飯と調味液の間で水分移行が起こりやすく、ご飯のべちゃつきにつながります。炊飯油によるコーティングがこの水分移行を抑え、食感の経時劣化を防ぎます。
日清麺がほぐれやすいオイル
パスタや中華麺などの麺の品質保持には、食感維持とソース乗りの良さを両立する「日清麺がほぐれやすいオイル」が有効です。
茹で上げ後の麺に均一に絡めてコーティングすることで、麺表面に薄い油膜を形成し、経時による麺の品質劣化を抑制します。油脂のコーティングが水分移行を防ぐことによって、麺の膨潤を防ぐとともに、ソースとの馴染みが良くなることで時間が経っても麺からソースが落ちにくくなります。
製造から喫食までの品質保持期間延長に直結する設計として、チルドパスタ・パスタサラダ・中華系麺商品・和麺系冷やし商品など幅広い麺種に展開いただけます。
製菓・製パンにおける水分移行抑制
フィリングの生地への水分移行課題に対し、フィリングそのものを覆うコーティングを施すことで、生地への水分移行を物理的にブロックするアプローチがあります。
コナファット#2
「コナファット#2」は、アップルパイ等のフィリングにまぶすことで、フィリングから生地への水分移行を抑制する粉末状の油脂です。粉末状のためフィリング全体に均一分散しやすく、パイ生地の浮き改善や、生地のサクサク食感維持に寄与します。
生地側の改質を行わずに使えるため、既存の生地配合や製造工程を大きく変更することなく導入できる点が、コーティング型アプローチの利点といえるでしょう。
水分移行抑制や、サクみが残る設計は、チルド流通が想定されるタルト・パイ類の品質保持期間延長に直結します。
まとめ
賞味期限延長が業界の不可避なトレンドとなるなか、水分のコントロールは設計段階から組み込むべき技術課題として、あらためて注目されています。
水分を原因とした経時劣化には、素材間で水分が移動する「水分移行」と「離水・乾燥・吸湿」があり、それぞれ対策アプローチが異なります。
油脂を用いたコーティング設計によって、惣菜・冷凍食品の開発に携わる皆さま向けに、米飯・麺類・惣菜・製菓・製パンといった幅広いカテゴリーで、水分コントロールを軸とした経時劣化対策をご支援しています。
自社の惣菜・冷食商品にどのように適用できるかご検討中の方は、ぜひ以下よりご相談ください。
