流通ジャーナリストが読む 冷凍食品「次のヒット」【後編】|出来たての香り、プロの火入れ、冷凍スイーツ

流通ジャーナリストが読む 冷凍食品「次のヒット」【後編】|出来たての香り、プロの火入れ、冷凍スイーツ

出来たての香り、お店と同じ仕上がり、食べたいときに味わう特別なひととき――。冷凍食品が長年、手軽さと引き換えに諦められてきたこれらの価値に、技術の進化が手を届かせつつあります。

流通ジャーナリストの阿部牧人氏が売り場の視点から読み解く冷食トレンド予測、後編のテーマは「気持ち」から生まれる以下の3つの情緒的な欲求です。

・冷凍食品でも「出来たて」が
・買っているのは高い素材ではなく「買えない工程」
・「買いに行った日」から「食べたい日」へ

レンジ加熱で失われがちな“香り”をどう取り戻すか。高級冷凍食品で、消費者は本当は何にお金を払っているのか。コンビニ各社が注力する冷凍スイーツ、その次の主役は何か。
そして、中食には真似できない冷凍食品だけの強みとは――。5つのキーワードの総まとめとともにお届けします。

【筆者プロフィール】
阿部 牧人(あべ・まきと)
流通ジャーナリスト 株式会社セブン‐イレブン・ジャパンを経て、インド・中国・インドネシアで現地コンビニチェーンのコンサルティングに従事。インドではコンビニの立ち上げに参画し、商品部門を担当。2022年より株式会社SARAH勤務。「月刊コンビニ」「月刊販売革新」などに執筆。

流通ジャーナリストが読む 冷凍食品「次のヒット」【後編】|出来たての香り、プロの火入れ、冷凍スイーツ

はじめに

前編では、暮らしの事情に寄り添う2つの欲求を解説しました。後編で扱うのは、残る3つのキーワードです。

  • 3.冷凍食品でも「出来たて」が── 家庭の食卓に湯気と香りを
  • 4.買っているのは高い素材ではなく「買えない工程」 ── 家庭では届かない価値を売る
  • 5.「買いに行った日」から「食べたい日」へ ── 食べ頃をストックする冷凍スイーツ

ここで挙げるのは、冷凍食品が長年、手軽さと引き換えに諦めてもらってきた領域です。出来たて、本物、特別な時間。どれも冷凍食品が最も苦手としてきたものです。裏を返せば、ここを克服できたとき、冷凍食品の可能性は大きく広がります。求められているのは機能の充実ではなく、食べる瞬間の心の動きに目を向けることです。それでは、順に見ていきます。